Professor Akira Kaneko/金子明教授との対談(2)
今回はヤシュチラン遺跡について
これは世界的によく知られたマヤ遺跡なので、この話から入るのはなかなか感動的。ではまず概要をお願い。
prof.: メキシコとグアテマラの国境を流れるウスマシンタ川の岸にある古典期(紀元300‐900年)の遺跡で、130以上のモニュメント(石碑、祭壇、梁石、台座など)に浮彫りとマヤ文字で王朝史が記録されてるのが特徴。マヤ文字解読の突破口となった遺跡としても有名。
“盾ジャガー” と”鳥ジャガー”
prof/ 教授の 話によく出てくる「盾ジャガー」「鳥ジャガー」とは一体何?
prof.: ヤシュチラン最盛期の7,8世紀の王で彼らは親子、盾ジャガーが亡くなった742年から、息子の鳥ジャガーが即位する752年までの10年間、王座が空位だったのです。実は盾ジャガーには正妻の王妃ショック以外に二人の妃がいて、鳥ジャガーは「イック頭蓋骨」妃の庶子だった。そういう事情なので正妻に連なる政敵との間で王位継承をめぐって王朝内で権力闘争があったと考えられているんだ。
ほ〜そういう事情があったのは知らなかった。
リンテル43 右が鳥ジャガー王
Dintel 43(CMHI: 3:91)
新たな学説の発表
最近prof Akiraは王位継承について新たな学説を発表したそうだけど。
prof.: これまで何人かのマヤ文字学者が政敵の候補をあげていたんだけれど、それまで文字からだけで論じていた問題に関して、私は考古資料、特に鳥ジャガーの母である「イック頭蓋骨」の墓、その建築の中央入口に置かれた梁石の捕虜が鳥ジャガーの政敵である可能性を考古学資料、芸術を含めて矛盾なく説明できると新しい視点を今回初めて提供しました。
学会での反応・手応えは?
prof. : 反応は非常に好意的。
リンテル16 右が鳥ジャガー、左側が政敵。
Dintel 16 (CMHI: 3:41)
パレンケ円卓会議
その学会(円卓会議)はかなり大きな会議だと聞いているけど。
prof.: かなりの規模だね。マヤ関係の学会は他に幾つもあるが、パレンケ円卓会議はマヤ学の専門家が集まる最高峰の学会という位置づけがされている。
発表する金子教授
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